今回は、レイブランカのスタイリスト・松本歩(まつもと あゆみ)さんのインタビューを紹介します。美容師になった経緯、接客で心がけていること、お客様とのコミュニケーションで大事にしていること、今後の目標を伺いました。
美容室選びに迷っている方、自分の希望を美容師にうまく伝えられずに悩んでいる方はぜひご覧ください。
「とりあえず就職しなきゃ」からスタート、気づけば20年が経ちました
—松本さんが美容師になったきっかけを教えてください。
多くの美容師は中学・高校生の頃からその道を目指し始めますが、私は元々「美容師になりたい」と思っていたわけではありません。石川県出身で、高校卒業したら東京に行きたい!というのが大前提で、どんな道に進みたいかはそこまで具体的に考えていませんでした。
高校生の頃は大学進学を目指す友人が多かったので、自分もそうなるのかなと何となく思う一方、ファッション雑誌を見るのが好きだったので、ファッション関係かヘアメイクの仕事に携われたらいいなと漠然と考えていました。
そのことを当時通っていた美容室の美容師さんにお話したら「ヘアメイクの仕事に就くのであれば美容師免許は必要だよ」と教えていただいたので、山野美容専門学校に進学することにしました。
—美容専門学校に通いながら、段々と美容師になりたい想いが強くなったのでしょうか。
実際には、美容専門学校を卒業後、就職して仕事し始めてからですね。専門学校時代は国家試験に合格するために勉強していて、「美容師として頑張りたい」という想いはなく、就職先を決めないまま卒業したんです。
卒業後1ヶ月くらいはアルバイトをしながら過ごしていましたが、親は美容専門学校を卒業しているのだから当然美容師になると思っているだろうし、そろそろ就職しないとさすがに怒られるかな・・・?と思って、やっと就職活動を始めました。
レイブランカを知ったのは、美容関係の求人雑誌です。自転車で通えるくらいの距離のお店で求人があったらいいなと探していたときに、レイブランカを見つけました。レイブランカはその頃、新卒で入社したスタッフが1人辞めたばかりで、新人の空き枠が出たタイミングでした。
庸子先生(当時社長、現会長・石井庸子、以下「庸子先生」)と当時のマネージャーが面接してくれたのですが、庸子先生から初回の面接で「いつから来れるの?」と言っていただいて、その数日後から働き始めました。
―レイブランカ以外の美容室も面接や見学には行きましたか?
2件くらいは行きましたが、面接・店舗見学・二次面接と段階があり、私自身は早く就職しなきゃという気持ちが強かったので、1日も早く入社できるところに決めたのが正直なところです。
合わなかったら辞めてもいいと思って入社したのですが、かれこれ20年経ちました。
—美容師の道で頑張ろう、という気持ちの変化はどこかのタイミングでありましたか?
特に思い当たらないんですよね。毎日やるべきことをやって繰り返した先に今がある、という感じです。長く年月通ってくださるお客様も増えるので、必要とされていることがやりがいには繋がっています。
「いつもどおり」で終わらせない。大切にしているのはお客様の第一声
―お客様と接客するとき、ご提案するときに大事にしていることはありますか?
ご来店いただいて、お客様が一番最初に発してくださった言葉を大事にしています。
「量が増えちゃって」「もっさりしてるのが気になる」「白髪が目立ってしまって」など第一声でお話されることは、今お客様が一番気になっていたり望んでいることだと思うので、それをきちんと汲み取るようにしています。
長い年月通ってくださるお客様だと「伸びた分くらい切ってください」「いつもどおりで」という方も多いのですが、「いつもどおり」だとしても、第一声でお話してくださることは毎回違うんですよね。
なので、「いつもどおりで」と言われても、お客様がそのとき気になっていることを必ず聞いて、いつもどおりで終わらせないようにしています。
長さやカラーを変える場合も、“お客様主体”の提案を意識しています。「これ似合いますよ」とアドバイスすることも大切ですが、お客様の好みやライフスタイルに合わなければ一方的な押し付けになってしまいます。
お客様に満足いただけなければ意味がないので、あくまでもお客様主体。そのうえでお客様の要望だけで終わらせず、「想像してたよりいいな」と思っていただけるように心がけています。
—お客様の中には、「絶対変えたいわけではないけど色変えようかな、でもいつもどおりでいいかな」という方もいると思います。そんなお客様とはどのようなコミュニケーションを取っていますか?
「言葉にしないけど、何か変えたい気分なのかな?」という空気を少しでも感じたら、流さずにお客様が考えていることを聞くようにしています。
今日の今日で希望どおりになるとは限りませんが、「このくらいの期間でここまでの状態になりますよ」など、先々どんな姿になるかを共有して、一緒に計画を立てていますね。
次回はこうしましょう、年内あと◯回いらっしゃるのでここまで持っていきましょう、という会話をすることが多いです。
先々の見通しをお話できると、結婚式参列や家族行事の予定も聞かせていただけるので、それに合わせたご提案もしやすいです。
—ご新規のお客様とは、どんなコミュニケーションを取っていますか?
なるべく短い期間でご希望どおりに仕上げたいとは思っていますが、髪質、長さ、カラーの履歴など色々な要素があって今の状態なので、1回目のご来店で希望どおりに仕上げるのは難しいです。なので、「今日は初回なのでここまでやりましょう。次回は日々のお手入れでやりにくいこと・気になったことを教えていただいて、髪の状態も見てどうするか決めましょう」とお伝えします。
色々な美容院に行くけど定まらないという方は、ぜひ一度ご来店ください。1回目の来店で100%希望どおりにならなくても、2回目3回目を経て、必ずいい状態に持っていきます!
—レイブランカはトータルビューティーをコンセプトにしていますが、松本さんにとってトータルビューティーとは何でしょうか?
スタイリスト個人としては、私が一番トータルビューティーから遠いかもしれないです。髪・メイク・ネイル・まつ毛・着付もできるのがレイブランカの特徴で、すべて1人で出来るスタッフもいますが、私は髪の施術がメインで着物の着付は出来ません。
でも、組織として考えると「外部の方を呼ばなくても、すべて提案できて対応できる美容室」というのは強みだと思います。
実際、メイクはお店のスタッフで対応するけど、着付は外部に依頼する美容室も多いです。レイブランカは成人式・卒業式みたいなイベントだけでなく、1年中着物の着付のお問合せをいただいて、お店のスタッフで対応できるので、レイブランカの特徴であり強みですね。
—組織全体でトータルビューティーを提供出来るのは素晴らしいですね。松本さんはマネージャーですが、全体がよくなるために考えていることはありますか?
私達は全員スタイリストなので、一定のレベル以上は、全員が同じことをできる必要があります。庸子先生からも「誰が施術してもお客様に満足いただけるレベルであることが大事」と教えられてきましたし、レイブランカのテーマでもあります。
そのうえで、それぞれ得意領域を活かしたいと思っています。着付やネイルができる、絵を描いたりデザインするのが上手、得意な施術がある、個性豊かなメンバーなので。
だからと言って任せっぱなしにしたり、その人がやって当たり前にはせず、お互いをねぎらい合える関係でいたいですね。
働き方もお客様との関係も、長く続けられる環境を築きたい
—今後挑戦したいことはありますか?
入社して20年が経ちますが、その間に働く環境は大きく変化しました。私自身、産休育休を取得して、時短勤務でもあるので、働きやすい職場だなと感じています。
その上では、さらに色々な働き方を選択できる環境を作れたらいいなと考えています。産休育休介護など関係なく、副業などで別の仕事にもチャレンジしたり、時間を自由に設定出来たり。この働き方に当てはまらない人はダメではなく、色々な働き方があるから長く続けられるお店に出来たらいいですね。
—松本さんご自身が5年後、10年後の理想像はありますか?
20年間ずっと、“目の前のことを精一杯やる”スタイルで仕事をしてきましたが、今後は目の前のことだけでなく、先のことも考えたいなと思い始めています。元々、先々の目標を立てるのはあまり好きではありませんが、5年10年経っても頑張れている姿は見せたいので。
お客様に対しても、長く関われるスタイリストでありたいです。施術ももちろんですが、人としてまた会いたいと思ってもらえる存在でいたいと思います。
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